「〇〇さんの奥様ですか?」そう話しかけてきたのは、見知らぬ男性──B子の夫だった。不倫問題に一区切りついた頃、予想もしなかった形で彼と向き合うことになった。これは、ある日突然訪れた、もう一人の“被害者”との対話の記録。
知らない男に声をかけられたママ友からの一報
ある日、同じマンションに住むママ友から「この前、マンションの前で男の人に声かけられたよ」と言われた。ママ友は私と年齢も体格も似ているから間違えられたのかもしれない。
「〇〇さん(夫の名前)の奥様ですか?」と聞かれたけど、うちの夫の名前もうろ覚えで、ちょっと怖い感じもしたので「違います」って答えたそう。
それを聞いて、何だか嫌な予感がした──まさか、と思っていたら数日後、本当にその“男の人”が私の前に現れた。
「〇〇さんの奥様ですか?」と声をかけてきた男性の正体
マンション前で突然、男性に呼び止められた。「〇〇さんの奥様ですか?」と。その名前を聞いて一気に警戒したが、「B子の夫です」と名乗られた瞬間、すべてが腑に落ちた。
B子の夫は、私と話したいことがあると言う。話の内容も察しがついたので、近くのカフェで話を聞くことにした。
不倫の真相を聞きたいというB子の夫
カフェでB子の夫は、「不倫の詳細を教えてほしい」と話してきた。B子に聞いても「私のことが嫌なら離婚してください」としか言わないらしく、詳細は教えてくれなかったという。
その気持ちは痛いほど分かる。私自身も、最初に事実を突きつけられた時は同じように混乱したから。
B子の夫はうちの住所を調べていた
B子の夫は、既にうちの夫が相手であることを知っていた。いろいろ調べた結果、うちの住所にたどり着いたそう。慰謝料請求をしたことで、B子との不倫は彼女の夫にも知られてしまっていた。
私が詳細を話すべきか、悩んだ理由
私はこの時点で、すでにB子に対して慰謝料請求をし、支払いも完了していた。高額だったこともあり、弁護士とのやり取りもあったため、B子の夫には不倫がバレていたようだ。
ただ、私は迷った。B子の夫はうちの夫に慰謝料請求できる立場にあるからだ。私が話すことで、夫が不利になるのではないか。でも、彼はすでに弁護士に相談していて「費用倒れの可能性が高い」と言われていた。
なぜ慰謝料請求を勧められなかったのか
・不貞の期間が短い ・不倫を主導したのはB子 ・B子夫婦の婚姻期間は短い ・子どもがいない
これらの理由で、慰謝料を請求しても、得られる金額より弁護士費用の方が高くなる可能性がある──というのが専門家の見立てだったそうだ。
B子の夫の姿に、過去の自分を重ねた
私も、かつて真実を求めて必死だった。B子の夫の姿は、あの時の私と重なるところが多かった。
私は、知っている限りの事実を丁寧に話すことにした。感情的にならず、証拠に基づいて。B子の夫は何度も「ありがとうございます」と頭を下げていた。
不倫は、当事者以外も巻き込む
この出来事を通じて改めて思う。不倫は、当事者たちだけで完結しない。家族、友人、同僚、近所の人まで巻き込む。知らずに心を痛める人が必ず出てくる。
私は私で、家族を守るために動いた。B子の夫は、彼なりの方法で答えを探していた。それぞれの“選択”が、少しでも前に進む力になりますように。
コメント